パーキンソン病患者の歩行と認知障害の関係

パーキンソン病患者の歩行と認知障害の関係

今回はパーキンソン病患者の歩行と認知機能障害の関係について説明したいと思います。

歩行は複雑なシステムで行われている

そもそも普段皆さんが何気なく行っている歩くという動作は実は複雑です。

身体の何かの機能が少し低下しただけでも何かしらの影響が出てきます。

ヒトは歩いている最中、体重を支える、足を振り出すという四肢・体幹の身体機能を使います。

ただしそういった運動器の機能だけでなく、体の揺れを感じる、目的地を見る、ルートを考えるなど認知面の機能を用いて身体内部~環境の監視を継続的に行っています。

そのため身体機能に加え、認知機能がうまく働いてヒトは歩いています。

パーキンソン病患者の歩行と認知障害の関係とは

身体障害と認知障害はパーキンソン病の一般的な症状になっています。

パーキンソン病の認知障害と歩行障害の関係は様々な研究(すくみ足と遂行機能障害は関連している、等)により示唆されていますが、認知障害に応じた歩行パターンは実証されていません。

今回、認知症スクリーニング検査のMMSEを用いて認知障害と歩行パターンを調査した研究を紹介します。

 【方法】
パーキンソン病診断後平均4.8年の86人を対象に、認知機能評価と歩行分析、パーキンソン病重症度の評価を行いました。

認知機能検査は
 ・MMSE
にて計測しました。

歩行分析では
 ・歩行率(歩数/分)
 ・速度(cm/秒)
 ・歩幅(cm)
 ・歩隔(cm)
 ・1歩所要時間(秒)

を測定しました。

パーキンソン病の重症度の評価は、
 ・ホーン ヤールの重症度分類(HYステージ)
 ・パーキンソン病統一スケール(UPDRS) 

を用いて評価しました。

 【結果】
認知障害は86人中41人で観察されました(MMSE:14~24点)。

認知障害のないパーキンソン病患者グループと比べて、認知障害のある患者グループでは歩幅が短くなりました。

また、歩行速度も遅くなっていましたが、統計的な有意差はありませんでした。

MMSEのサブカテゴリの中で、「記銘」「注意/計算」及び「視空間認知」は、歩行速度、歩幅と有意に関連していました。

ただし、2つのグループで、年齢、罹患期間、歩行率、歩隔、1歩所要時間、パーキンソン病重症度(HYステージ、UPDRSともに)に有意差はありませんでした。

今回の研究により、認知障害がパーキンソン病の重症度とは関係なく、ゆっくりとした短い歩幅での歩行と関連付けられていることを示唆しています。

簡単に評価が行えるMMSEにて、歩行障害を考察することに役立つと考えます。

上記のように、パーキンソン病の歩行障害を、進行度や身体機能面だけでなく、認知機能を含めて評価、リハビリを進めていくことが重要と考えられます。

きらめき訪問看護リハビリステーションでは多面的に身体を捉え、最適なリハビリを提供できるようにしています。

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