鳴らないオンコールを目指して
訪問看護の現場で重要な役割を果たす「オンコール」。これは、ご利用者様やご家族が24時間365日、緊急時に看護師に連絡できる仕組みです。
しかし、緊急対応が必要ない状態を保つことこそ、ご利用者様にとっても、訪問看護師にとっても理想的です。
私たちは「鳴らないオンコール」を目指し、日々工夫を重ねています。
緊急時訪問看護加算とは?
「緊急時訪問看護加算」とは、訪問看護を利用している方が夜間や休日などに急な体調変化があった際、訪問看護師が迅速に対応できる体制を維持するための制度です。
この加算により、24時間365日の緊急対応体制が整備され、ご利用者様やご家族が安心して療養生活を送れる環境が支えられています。
訪問看護ステーションが電話相談や緊急訪問を行える準備を整え、契約時にご利用者様の同意を得ている場合に適用されます。
この加算により、緊急時の不安が軽減され、ご利用者様の生活の質が向上するメリットがあります。
オンコールに至る不安を解消する
病院で働いていた経験のある方なら、ナースコールが鳴る前に患者さんの不安や困りごとを予測して対応することの大切さを日々感じられていると思います。
ナースコールで呼ばなくても事前に対応されていれば、ナースコールは減らしていくことが可能です。そして、本当に必要なナースコールに集中できます。同じように、訪問看護でも、ご利用者様がオンコールを使う前にその原因を取り除くことが大切です。
例えば、「夜中に体調が急変したらどうしよう」といった漠然とした不安がある場合。
その方の病状に合わせて、事前に医師へ指示を確認したり、具体的な対応策を伝えていきます。
逆に、どのような場合はオンコールをして欲しいかを伝えておくことで、電話をかけるかどうかの迷いや不安を軽減できます。小さな不安を放置せず、先回りして対応することで、オンコールを減らしていくのです。
日常ケアで「安心」を積み重ねる
オンコールを減らすためには、日々の訪問ケアが重要です。ご利用者様のご容態をアセスメントし、「もしかすると緊急事態が起きるかもしれない」と予測される兆候があれば、医師へ状態報告したり、訪問スケジュールを調整して対応します。
また、「話しやすい関係づくり」も欠かせません。日常のコミュニケーションを通じて、ご利用者様が抱える小さな不安をキャッチし、その場で解消する努力をしています。これにより、不安が重なって緊急事態につながることを防ぎます。
安心を支える、チームの取り組み
「オンコールが鳴らない」ということは、ご利用者様の穏やかな療養生活の実現につながります。
私たちは、チーム一丸となって日常ケアの質を高め、不安を事前に取り除きながら、緊急事態の予防に努めています。そして、緊急事態の対策をしっかり行い、焦らずに対応できるように取り組んでいます。
オンコールが必要ないほど安心な暮らしをサポートする。これが私たち訪問看護師の目指す姿です。