認知症患者への訪問看護の役割と効果
認知症患者への訪問看護の役割と効果
2015年1月に、日本では認知症をもつ高齢者に対応するためにニューオレンジプランが発表されました。
このプランの基本原則は『認知症患者ができるだけ身近な環境に住むことができる社会を創造する』というものです。特に一人暮らしの認知症患者のための効果的な戦略が必要と言われています。
現在、我が国日本において65歳以上の単身世帯は、1955年の17.3%から2015年に26.3%と年々増加傾向にあります。
同様に65歳以上の単身世帯が増加している英国では、地域密着型看護師(アドミナルナース)がおり、認知症患者とその家族のケアを行っています。
この看護師の特徴は、認知症患者を含めた介護者家族へのケアを積極的に行っているということです。
日本では、訪問看護師がそれと同様の役割を果たすことが期待され、様々な研究が進められています。
訪問看護は家族介護者へのケアにも効果的
認知症患者への訪問看護は、多くの場合がその他の疾患と同様に、医療処置が必要になった時に依頼されることが多いようです。
では、認知症患者への訪問看護にはどのような効果が望めるのでしょうか?
今回は、石川県立高松病院精神神経科の北村らが報告した「一人暮らしの認知症患者に対する訪問看護による介護者家族の経験」を参考にし、訪問看護の効果を考察してみましょう。
この研究では、一人暮らしの認知症患者5名を選出し、その家族介護者に対して訪問看護を受ける前と後における認知症や利用者ケアに対する心情の変化などをインタビューし、分析しています。
訪問看護を受ける前の家族介護者の経験として、
・認知症症状の発生による不安及び当惑
・孤独感と介護支援への苦悩
がありました。
一方、訪問看護を受けた後の家族介護者の経験としては、
・安心感と心理的ストレスの軽減
・看護師のケアの観察による認知症の理解
が起こったようです。
これにより、認知症患者の介護者家族は前向きに介護しながら自宅生活を支援できるようになりました。
訪問看護の利用の前後で、認知症を発症している利用者様に対しこのような効果があることが分かりました。
認知症患者の自宅生活を支援するにあたり、訪問看護を活用し、介護者の認知症に対する知識を深めることが重要と考えられます。
このように、きらめき訪問看護リハビリステーションでは、認知症を発症している利用者様に対して、医療処置のみでなく、認知症患者の「言動」や「心の動き」の理解を深められるよう支援し、認知症患者への「向き合い方」をご提案しています。
これにより、利用者様自身のみでなく、介護者であるそのご家族も支援しています。
訪問看護の利用者様への関わり方で気になる事がある方はページ下部のエントリフォームよりお問い合わせください。
参考文献:Kitamura T_et_al. , psychogeriatrics, 2019 Familia caregiver’s experience with home-visit nursing for persons with dementia who live alone