褥瘡予防は在宅生活のキーです

褥瘡予防は在宅生活のキーです

在宅生活を困難にしている要因は様々です。

そのため、いろいろな事を想定し注意しながら介入していく必要があります。

それは身体状態のみに限られませんが、今回は身体異常のひとつであります、褥瘡について紹介していきます。

そもそも褥瘡って何?

そもそも褥瘡ってなんなのでしょうか?

日本褥瘡学会によると、

身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる。

日本褥瘡学会より引用

と定義されています。

つまり、外力によって血流が阻害され、皮膚が障害されている状態の事を褥瘡といいます。

放っておくと感染症を引き起こし、敗血症などにより最悪の場合は死に至ります。

褥瘡を予防する、もしくは治療する事は、在宅生活を安心して継続するために非常に重要になってきます。

褥瘡はどうしてできるの?

褥瘡は耐久性が低下している組織に限局的な圧迫が加わって起こります。

限局的な圧力は血流を阻害し、阻血障害を引き起こします。

阻血性障害では、外力によって微小血管が閉塞して組織が阻血壊死に陥ります。そして、一度途絶した血流が再開通したときに、生体炎症反応が起こり、組織が障害される再灌流障害が起こります。

それにより細胞死や組織障害が起こります。

身体の中ではいろいろな組織の反応が起こっていますが、褥瘡を発生させる要因を大きく分けると「個体要因」と「環境・ケア要因」があります。

個体要因とは、その人自身の状態が影響する因子です。

個体要因
・日常生活自立度
・骨突出
・関節拘縮
・栄養状態
・浮腫
・多汗
・尿、便失禁     等

環境・ケア要因
・体位変換
・体圧分散用具
・頭側挙上
・座位保持
・スキンケア
・栄養補給
・介護力
・リハビリテーション 等

上記は一例であり、様々な要因で褥瘡は発生する可能性があります。

在宅生活では個人要因に対する対応と共に、環境因子に対してもアプローチが直接可能です。

褥瘡にならないために必要なことは?

では褥瘡にならないようにするのは何が必要なのでしょうか?
いくつか紹介したいと思います。

・体圧分散ケア
除圧のためのマットレスを使用したり、体位変換を行います。
これにより持続的に同部位が圧迫されることを防ぎます。

・摩擦・ずれの予防
衣服のしわを取ったり、姿勢を整えます。
実は衣服のしわは、しわ自体の膨らみにより接触面積が狭くなり、そこにかかる圧が上昇します。
その状態で持続的に圧迫されると褥瘡の発生リスクは増加してしまいます。

・スキンケア
乾燥を防いだり、失禁などで皮膚がふやけないようにクリームなどを使用します。
まだ褥瘡ができていない正常な皮膚であれば、市販のクリームでも十分乾燥対策が可能です。

・排尿、排便のケア
おむつ交換時洗浄などを行い汚れを残さないようにします。
不衛生では細菌が繁殖します。体を清潔に保持しておくことは非常に重要です。

・栄養管理
低栄養では褥瘡もできやすく、治りも悪いです。
褥瘡の予防にも治療にも、栄養摂取は重要になってきます。
また血糖値が高いと傷の治りが悪く、褥瘡は悪化しやすくなります。糖尿病のある人は血糖のコントロールも大切になってきます。

このように、褥瘡の予防・治療には様々な事が必要です。

これらを家族のみで担うのは大変であり、いわゆる介護疲れが出現します。

在宅生活を安心して継続していく上で、褥瘡予防は非常に大切です。

既に褥瘡が発生してしまっている方や、発生リスクのある利用者さんに対して、主治医やヘルパーさん等と連携して対応しています。

訪問看護師は、ご利用者さんの最も身近な医療者であるべく、様々な支援をしています。

今回はその中のひとつである、褥瘡に関して紹介しました。

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